2019/03/08

アルコール化粧水の功罪~使用すべきアルコールフリー化粧水とは~

化粧水はスキンケアには欠かせないものですが、みなさまはどのような化粧水をお使いでしょうか。多くの化粧水にはアルコールが含まれています。果たして本当に安心して使えるものでしょうか。また、選ぶべきアルコールフリー化粧水はどんなものでしょうか。

スキンケアを行ううえで、化粧水は欠かせないものです。さまざまな化粧水がありますが、なかには肌に刺激を与えてしまう成分が含まれているものもあります。そのひとつが「アルコール」。ではなぜ、そうした成分が化粧水に含まれているのでしょうか? 今回は、アルコールが添加される理由とともに、アルコールフリー化粧水の正しい選び方についてお伝えします。

化粧水に添加される「エチルアルコール」とは

化粧水に限らず、アルコールはさまざまな化粧品に含まれています。添加されるアルコールにはいろいろな種類がありますが、化粧水で主に使用されるのが「エチルアルコール」です。では、なぜ化粧水にアルコールが添加されているのでしょうか。まずはその理由を確認してみましょう。

エチルアルコールが使われる理由

エチルアルコールという名前になじみがなくても、「エタノール」をご存知の方は多いかもしれません。実は「エチルアルコール」と「エタノール」は成分的に同じで、製品の成分表示には「エタノール」と統一して記載されます。エチルアルコールを化粧水に使用することで、私たちの肌へどんな働きをもたらしてくれるのでしょうか。例えば、化粧水を使った時に、「スー」っと心地よく感じることはないですか? これはアルコールの特徴である「揮発性」の影響です。揮発性とは、液体が蒸発しやすい性質のことであり、使用感を良くする目的にアルコールが使用されています。
その他にも
・洗浄:肌に残った皮脂汚れ、色素などを浮かして取り除く作用
・殺菌:防腐作用を期待した安定化材
・収れん:肌の温度を下げ、肌表面の皮脂や水分を取り除くことによる引き締め作用
・可溶化:水や油に溶けにくい各主成分や香料、色素を溶かし込む溶剤
といった目的により、化粧水にはエチルアルコールが添加されています。エチルアルコールは糖から抽出した糖蜜から作られるものなど、一部植物由来のものもありますが、ほとんどが石油由来のエチレンから合成されます。水に溶けやすい水性成分で、消毒用に使用する消毒用エタノールより高い純度となる95.1%以上のものが使用されています。また、直接化粧水に添加しなくても、植物エキスを抽出する際の溶媒としても使われることもあり、キャリーオーバーとして成分に記載されないこともあります。

その他のアルコール成分

その他に化粧品に使用されるアルコールにはベンジルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール(セチルアルコール)などがあります。これらは主に乳化剤として使用されることが多く、クリーム状の化粧品によく使用されるものです。水溶性のエチルアルコールとは違い、油性であることが大きな特徴でしょう。また、よく成分表示で見かける「フェノキシエタノール」はグリコールエーテルという種類のアルコールです。主に化粧品の防腐剤の役割として使用されています。
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アルコール化粧水がもたらす肌への影響

上述したように、アルコール成分にはさまざまな作用があり、化粧水に含まれるのは当たり前だと思われる方もいらっしゃることでしょう。しかし、一方で、近年ではアルコールフリーの化粧水が各メーカーより発売されていることも事実です。というのも、肌のタイプによっては、アルコールの作用でかえって肌に負担を与える可能性があるとわかったからです。もちろん、全く気にならない方もいるかもしれませんが、化粧水を使った後に以下のような肌トラブルを感じる場合には注意が必要でしょう。
■痛みを感じる
純度の高いアルコールには強い揮発性があります。アルコールは蒸発する際に熱を奪うのでスーッとした清涼感は残ります。油分が多い肌質の方などは、この清涼感を心地よく感じることもあります。しかし、敏感肌の方にとっては、それが痛みに感じてしまうことがあります。

■刺激を感じやすくなる
アルコールは油を溶かす性質があるので、皮脂を落とす作用を期待して添加されます。しかし、私たちの肌には必要な皮脂もあり、落としすぎるとバリア機能の低下を招くことがあります。肌表面を保護する働きを持つ皮脂膜は、汗と皮脂で形成されていますが、アルコールの作用で皮脂が落ちすぎてしまうと皮脂膜を作る機能が低下してしまい、普段から刺激を感じやすくなってしまうかもしれません。

アルコール化粧品によるリスクもある?

そのほか、アルコールの成分によって、次のようなリスクも考えられます。
■常在菌を殺してしまう
アルコールの成分は消毒にも使われるように、菌を殺す作用があります。肌にはたくさんの「常在菌」が存在しており、その数はなんと数千万個。約20種類の菌が皮膚機能に影響を与えているそうです。「菌」といっても、雑菌のように肌トラブルを起こすものもありますが、肌を守る良い働きをしてくれるものも多くあります。例えば、「美肌菌」とも呼ばれる「表皮ブドウ球菌」はは、肌にうるおいを与えるグリセリンの分泌を促す働きがあると言われています。グリセリンが分泌されることで、肌が保湿され、バリア機能の向上も期待できます。また、肌荒れやアトピー性皮膚炎の原因となる黄色ブドウ球菌を退治する「抗菌ペプチド」を産生することもわかっています。肌を美しく保つためには、良い菌を残せるようなスキンケアが必要です。しかし、アルコールの抗菌作用によって、肌に良い働きをしてくれる菌を殺してしまう恐れがあります。

■肌乾燥を進めてしまう
アルコールは揮発する際に、肌表面の水分も一緒に奪ってしまいます。そのため、アルコールが添加された化粧水を使うことで、肌表面が乾燥しやすくなるとされています。アルコールと一緒に合成ポリマーのような成分が含まれることで、お肌は潤ったように感じますが、それも一時的なことに過ぎません。長期的にアルコール入り化粧水を使用していると、場合によっては、インナードライ(肌内部の乾燥)を引き起こす可能性が考えられます。インナードライになった肌は、角質の水分保持力が低下し、肌の弾力が失われて肌がたるんでしわができやすくなります。また、肌はこれ以上乾燥させないように毛穴を開き、皮脂を出すことで、毛穴の目立ちやテカリの原因を作ってしまうかもしれません。そのほか、ターンオーバー(肌細胞の生まれ変わり)を滞らせる可能性もあり、色素が排出されにくく、シミがいつまでも肌に残ったり、古い角質の影響で肌のくすみやざらつきを招いたりすることも。アルコールの作用によって、肌の乾燥を進めてしまう可能性があることも覚えておきましょう。

■アルコールによるアレルギー反応
個人差はありますが、エタノールによるアレルギー性皮膚炎が起こることもあります。パッチテストをすることで事前のチェックも可能ですが、人によっては遅延型や長期使用によるアレルギーに発展するケースもあるため、すぐに気付けないこともあるでしょう。アルコール入りの化粧水を使用して肌が赤くなってしまったり、かぶれたりしてしまう場合は、すぐに使用を中止した方がよいでしょう。

■目への刺激
エタノールは、目に対して中度~重度の影響を与える成分です。たっぷりの化粧水を使った後に、目が痛くなる経験をした人も多いのではないでしょうか。デリケートな目元にアルコール入りの化粧水を使うことで、アルコールの揮発にともなって、目に刺激を感じることがあります。万が一、化粧水が目に入ってしまうと、強い痛みを感じる場合もあります。

アルコールフリー化粧水の選び方

アルコール成分の危険性から、アルコールを使用していない「アルコールフリー化粧水」が数多く市販されています。しかし、「アルコールフリー」だからと言って必ずしも肌に優しいという訳ではないということに注意しましょう。

アルコールの代わりになる成分を使用していない化粧水

アルコールは「防腐」の役割を担ってくれます。しかし、アルコールを添加しないアルコールフリーの化粧品は、防腐作用が期待できず、長期使用での安全性が問われてしまいます。そのため、アルコール以外で防腐作用のある他の化学成分を添加することで、化粧水の安全性を維持しているケースが少なくありません。防腐剤としてよく使用されるのが「パラベン」、「安息香酸」、「ソルビン酸」、「フェノキシエタノール」といった化学成分です。「アルコールフリー」とうたっている化粧水でも、成分を見ると化学成分が使用されていることがあります。こうした成分には防腐剤の役割がありますが、同時に発がん性や喘息、皮膚炎などとの関係が疑われています。一概に「アルコールフリー」だからと言って、安全とは限らないということです。アルコールフリー化粧水を選ぶ際は、成分に気を付けてください。

その他の添加物に注意

アルコールフリーの化粧水を選ぶ際には、防腐剤に限らず、その他のケミカル成分が含まれていないかもチェックが必要です。肌への負担を減らすためにアルコールフリー化粧水を選んでも、ケミカル成分が含まれていると肌はダメージを受けてしまう可能性があります。なかでも、保湿剤として配合されるプロピレングリコール(PG)やジプロピレングリコール(DPG)は、発がん性の疑いのあるとされています。グリコール類の中では毒性が低いと考えられていますが、肌への浸透性が高いため経皮毒性には注意が必要です。私たちは口と皮膚から吸収と排泄を行っています。口から入ったものは90%が排泄されることに比べ、皮膚から吸収されたものは10%しか排泄されていません。つまり、皮膚から吸収したものは長期的な使用によって影響が出てしまうことも考えられます。

容器に注意

アルコールや防腐剤を使用していない化粧水は非常にデリケートです。光を通してしまう透明のボトルなどの容器では紫外線による劣化などを促進させてしまう可能性があります。また、メーカーによっては詰め替え用も販売されていますが、アルコールや防腐剤が入っていない場合は、容器に移す際に雑菌が入り繁殖してしまう恐れがあります。劣化した化粧水を使い続けると、肌に負担をかける可能性が高くなるでしょう。
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手作り化粧水は安全?

市販の化粧水成分を不安視して、手作り化粧水を作ってお使いになっている方もいらっしゃると思います。化粧水は、精製水やグリセリンを使用すれば簡単に手作りできますし、材料も手に入りやすいものです。そのため化粧水だけは自分で手作りしているという方も多いようです。ただし、手作りだからといって必ずしも安全とはいえないケースもあります。

安全性の保障がない

アルコールや防腐剤など肌に悪影響を与えるものは入っていないにしても、手作り化粧水はあまりおすすめできません。なぜならば、「安全」という保障がないからです。各化粧品メーカーは開発から発売まで専門的に厳しいチェックを行い、安全と保障できるものしか販売しません。しかし、手作り化粧水はそのような厳しいチェックを経ていないので、安全面に懸念が残ります。もちろん、ご自身でお使いになるものではありますが、万が一お肌にトラブルが起きてしまった時のことを考えると、やはり安全性が保障されている化粧品メーカーから発売されている化粧水をお使いになることをおすすめいたします。

まとめ

化粧水に多く使用されている「アルコール」。アルコール入りの化粧水がもたらす肌への影響をお伝えしてきました。アルコール入りの化粧水はたくさんありますが、使い続けることで肌トラブルを招く可能性も考えられます。かといって、「アルコールフリー」とうたわれている化粧水でも、ケミカルな成分により肌に負担を与える場合も考えられます。肌トラブルを改善したいと思われるのであれば、天然成分でできている化粧水をお選びください。

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